「ロマーリオっ、トラダートに連絡は!?」
「あ、あぁ、30分前から急に繋がらなくなった。姐さんのケータイにも連絡を入れてるが、さっぱりだ」




舌打ちをして、ジャケットのポケットからケータイを取り出す。




「――――――、くそっ、なんで出ねぇんだよ……!っ」
「……ディーノさん、」




を殺せば、こちらが取引に応じないことは分かってるだろうし、それはまずないだろう。




だが過激派のトラダートのことだ。
殺しはせずとも、何か危害を加える可能性はないわけじゃない。




「……、、」








Love Sick! Medicine9:ザ サーチ!








「ロマーリオ、お前は何人か連れて、名義の怪しい物件、空きビルを中心にの捜索に出ろ。
ボノはトラダート本部に連絡を入れ続けて、繋がり次第すぐオレに回せ。いいか」


「もちろん了解だ」
「任しといて下さい」




すっと、目を閉じる。




あの時オレが、行くなと言っていたら。
こんなことにはならなかっただろうに。
アイツに怖い思いをさせて、苦しい思いをさせて。
何が、愛してるだ。
そんなこと言える権利、オレにはないだろう。


傍にいてくれて、オレの浮気に呆れず怒ってくれて、見捨てないでいてくれて、それで充分。
は、よくしてくれたじゃないか。


それなのに、アイツの気持ちを試すようなバカな真似して、危険な目に遭わせて。


気づくのが、遅いんだよ。
なんでもっと早くに、アイツの気持ちを思ってやらなかったんだろう。




「自己嫌悪におちいるのはかまわねーが、それはを救出してからにしろよ。
この際ツナを使ってもいいから、さっさと見つけろ。このへなちょこが」




はっとして、リボーンを見る。
そうだ、今はを無事に助けてやることが最優先だ。
オレの気持ちとか、そんなのはどうだっていい。





アイツの命を、




「オレにも出来ることがあるなら、なんだってします。
さん、早く助けてあげましょう!」




ツナの真っ直ぐな眼差しに、オレはほんの少し躊躇って、頷いた。 (必ず、助け出してやる!)




***




臭う物件をリストアップしていると、ケータイが小刻みに振動した。




「何かあったのか!?ロマーリオっ」
「あぁ、姐さんらしき女の目撃情報を掴んだ」
「どこだ!オレもすぐ行く!!」
「待ってくれ!まず話を聞け!」




渋々分かったと呟くと、全く、姐さんのこととなるとしょうがねーな、ボスは、とロマーリオが言った。
当たり前だ、誰のせいでこんなことになったと思ってるんだ。
一刻早く、無事な姿をこの目で見たい。
それから謝って、それから、


逸(はや)る気持ちを抑えながら、それで?と話を促す。





「駅の方にある空きビル―――――詳しいことはまだ調べてる途中だが、そこから女が飛び降りたらしい」
「ちょっと待て!ビルからってどういうことだ!?」




すぐさま、頭の中でイメージ映像が再生された。(ダメ、だ、)




「最後まで聞け!ボス、そんなんじゃ助けられるモンも助けられなくなるぞ」
「、悪い、かっと、なった。続けて、くれ」




不安そうな表情でオレを見つめてくるツナに、曖昧に笑った。(うまく笑えたかは、分からないが)




「女が落ちてくるのを受け止めたのがいたらしい。それと一緒に走ってったって話だ。
だが、ビルから出てきた男二人が、女とそいつを追っかけてったんだそうだ」




「………ロマ−リオ、そのビルの場所を探せ。すぐに」




女。
ロマーリオはとは言わず、女、と言った。
それは当たり前だ。
確実な情報ではないし、その女がだという確証もない。
女がビルから飛び降りたというのも、ロマーリオが話を聞いた人物が目撃したわけではないだろう。
トラダートからの連絡が途絶えた時間から考えると、その確率が高い。
だからロマーリオは、「らしい」だとか、不確かな言葉ばかりを使った。




それでもオレには、分かる。(理屈じゃない、この、感覚は)




その女は、に間違いない。
証拠も何もないが、これは確かだ。




「ビルから飛び降りるようなムチャな女は、くらいしかいねーな」




オレの確信に、確かな自信が加わった。
リボーンがそう言うんだから、間違いない。




「予定変更で、駅方面の飛び降りビル捜索だな」
「あぁ、急いでくれ」




通話終了のボタンを押して、左手の薬指のリングを見た。
部屋の光に、きらりと光っている。




「………もう少し、待っててくれ」





































***


次で再会!




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