、明日からしばらく日本行くからな」






明日からも何も、今日だって日本から戻ったばっかじゃない。
正直、また?以外の感想がない。


どうしてかなんて知らないけど、最近、日本に行くことが多いよう。
まぁ、あたしは仕事に口出ししない主義だし、どうとも思わないけど。
逆に、どうこう口出ししたところで、何か変わるわけでもないし。
こうした冷めきった考え方が、余計に自分を追い詰めて、更にはディーノを調子に乗らせているんじゃないか。

眉を一瞬ひそめて、ここ最近のディーノの姿を思い返してみる。




………ここまで頻繁に日本へ行く仕事ばかりなんて、そうあるのかしら。
本当は、向こうに愛人が出来たんじゃないの?




そう言えたらどんなにいいだろう。
あたしは、臆病者だ。
言ってしまったあと、ディーノと気まずくなるのが嫌なのだ。
浮気のたび、どんなにきつく怒鳴っても、出来もしない離婚を切り出しても、こういういざという時には、何も言えない。






「……分かりました。………最近、日本行きが多いんですね」
「んー、まぁな。まっ、今回はお前もいるし、オレは……なんだ、その、嬉しいぞ、」





「そうですか…………は?って、はい?ちょっ、どういうことですか!?」








Love Sick!  Medicine3:ボスの妻の務め








「ボンゴレ10代目に挨拶しに行くんだよ。お前、会ったことねーだろ?」
「あ、会ったことないも何も、あなた、あたしが仕事関連の人と関わると怒るでしょっ?」





あぁもう、あぁもう!
頭が痛いわ、なんなのこの話の流れは。
荷物をまとめながらも、あたしの頭の中は混乱したままだった。
ディーノが日本に行く、あたしも一緒に行く、ボンゴレ10代目に会いに、日本に行く……、あたしが?
結局話の全貌が分からぬまま、時間ぎりぎり、飛行機に飛び乗った。
今はもう大分落ち着いている。
だからこそ、はっきり言っておきたいことがひとつ。




ボンゴレもクソもあるもんですか。
仕事関係の人にあたしを紹介するの嫌いなクセに、これは一体どういう風の吹き回しなの?




「、は、キャバッローネのボスの奥さんだろ?挨拶しないわけにはいかない。
これは、ボスの妻としての務めだ。……っつーわけだから、準備しとけよ?」


「………(体裁か)そうですか、分かりました」




ったく、変なところで見栄っ張りなんだからやんなるわ、この人。
愛人だって少なくはない(というかむしろ多い)んだから、あたしなんかよりもっと美人を連れてけばいいのに。
別に、お飾りの女なんか、正妻じゃなくたっていいじゃない。
むしろ、大勢女囲ってる方が、金銭面で余裕があるようでカッコつくんじゃないかしら。
ああ、でもお飾りであっても正妻っていう立場にいる以上、その女を紹介しなくちゃみっともないか。
フツーはそうよね、愛人を上司に紹介することは出来ないわ。






ま、ディーノの都合、というか、マフィアの常識がどんなもんだか、あたしは知らないけど。 (とりあえずあたしが知ってる一般常識は通用しないでしょうね)






………でも、日本か。
里帰り、は出来ないだろうけど、久し振りに、祖国の地を踏めるわけだ。






そう考えると、日本行きも、案外悪くはないかな?






***






「まさか、ボスがマジで姐さん連れてくたぁビックリだぜ」






ウィスキー片手に、ロマーリオが笑った。
オレは、うるせーよ、と、少しだけテレて返す。
仕事で日本に来ることは少ないくないし、ツナとリボーンのおかげで日本のことはそこそこ知っている。
けど、今回はオレの知ってる景色全部、違って見えるに違いない。




だって、が一緒なんだ。




「ボンゴレの困った顔、リボーンさんが銃出すまで惚気るんだもんなぁ、いやあ面白いモン見してもらった。
……にしても、俺ぁビックリだったよ。リボーンさんの挑発に乗って、姐さん紹介するなんて言い出すんだからよー。
ったく、その後はまーたひたすら奥方自慢だろー?今回ばかりは、困ったよ俺ぁ」


「っだぁ!もうその話はいいだろ!?さっさと部屋行けっ」





へいへい、と、ユルイ返事をして、ロマーリオは書斎を出て行った。
あのまま置いといたら、いつまでも人をからかって笑っていそうだ。
ったく、酔っ払いを放っておくとロクなことになんねー。












『ディーノ、はまだ、お前に愛想尽かしながらも傍にいてくれてんのか』












リボーンの声が、また頭の中で聞こえた。
あぁ、あんな挑発に乗らなけりゃ、を余計な男共に近づけなくて済んだのに。


はあ、と重い溜息を吐く。
バカか、くだらない嫉妬なんかして、なさけねー。


まだまだだ、オレは。
を男共の視線にさらしたくなくて、今までずっと人に紹介せずにしてきたのに。
時にはロマーリオにまで嫉妬していたオレが、どうして。


まんまと、リボーンの挑発に乗ってしまった。


いくら弟分でも、にだけは、会わせたくなかったな。
そりゃ、自慢してやりてーなって思ってたし、むしろ今回自慢しまくったけど。
……いや、それが原因で紹介することになっちまったんだもんな……。












………日本行きで、何も起こりませんよーにっ!


























































***


というわけでして、日本へ飛びます!




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