始まりの音?
終わりの音?
多分きっと、どちらでもあるのよ。
あたしにとっての終わり。
あなたにとっての始まり。
ねぇ、どうせなら、もっと早くに聞きたかった。
Love
Sick! Medicine21:秘密
「、理由を、聞いても?」
たっぷりの沈黙の後、なんとか声を振り絞った。
震えを悟られないように、堪えながら。
【理由?うーん、あたしは言ってもいいんだけど、ディーノが、】
「教えて下さい」
なんとなく、予想の出来ること、だけど。
【、でもディーノが知ったら怒るから、あたしが言ったって内緒にしてくれますか?】
「言いませんよ。あたしが予想してる通りの理由なら、今すぐにでも離婚届を出しますから」
【……じゃあ、言うけど……、】
【あたしのお腹に、ディーノの子どもがいるの】
やっぱり。
ほら、予想出来てたせいか、あたしすごく、落ち着いてる。
さっきまでの震えが、ウソみたい。
「……そうですか。……今、何ヶ月?」
【今ちょうど3ヶ月目に入ったところ。体調も気持ちも不安定なことがあるけど、ほら、ディーノ優しいでしょ?
だから、なんとか頑張れてる感じかなぁ……っあ、ごめんなさい!こんな話……っ、】
幸せそうな家族が、ふっと浮かんだ。
一度は、夢見たもの。
「……お身体、お大事にして下さいね。こちらのことは、何も心配しないで下さい。
彼とはすぐに別れますから。……それじゃあ、失礼します」
一方的に、切った。
お腹の子が3ヶ月ということは、とっかえひっかえディーノが浮気してた時期と、重なる。
子どものことは、間違いじゃない。(あたしも彼女もディーノも、大人なんだもの)
……そういうことをして、こういう結果になったって、不思議じゃない。
それに、あたしとディーノの間には、子どもがいないんだから。
キャバッローネの後継ぎの問題もあるし、子どもの将来もある。
彼の選択は、正しい。
あたしとの離婚は、当然だ。
もう、一つしか。
選択肢、なんてない。
内線でさんに繋ぐと、あたしはゆっくり目を閉じた。
思考を巡らせながら、何が最善かを探るため。(悲しむより先に、冷静にならなくちゃ)
【どうされました?奥様】
「簡単に荷物をまとめるの、手伝って欲しいの」
【……荷物、ですか?】
「そう。……今日から日本に行くわ」
ただ今は、悟られちゃいけない。
さんにもロマーリオにも、誰にも。
もちろん、ディーノにも。
***
久々にも程がある!!
ですがここから、ここからお話が動いてくれる、は、ず。←
この短さは次回でカバーします……!
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