どうして、忘れていたのか。(こんなにも尊い、メシア)




「っ全部全部壊してやるわ!全部全部、地獄に送ってやる……っ!
奪うことがどれだけ罪深いことか、あんた達に教えてやるわ!!」





この屋敷へ来た日の、夜。




「っ、、お願いだ、こんなことっ、やめてくれ!」
「10代目!今彼女に近づくのは危険です!」





取り乱して、泣き喚いて、ひたすら、壊した。




「どうしてこんな酷いことするのよどうして私から奪うの!?
望んだのはあの人だけだったのにどうしてよどうしてよ!!」




子どものように泣きじゃくる私を、ひたすら宥(なだ)める男達。(その中で、)




「……面倒な女だ。沢田綱吉、僕は言ったよね?彼女に―――――――は反対だって」
「っ何をする気ですか……」








、僕が君を助け出してあげるよ」










純粋な黒










「沢田綱吉は、僕と君がこうして触れられる距離にいることが、ひどく気に食わないらしい」
「っヒバリさん!いい加減にして下さい!」




どうして、どうして忘れていたのか。




「ねぇ、君が、僕の存在を知っていながらも、どうしてあの夜の記憶だけ欠けていたか、分かるかい?」
「ヒバリさん!……それ以上口にしたら、いくらヒバリさんでも容赦しません」






「君は口を挟むな。……ねぇ、、君の知らないところで、何が起きているのか想像出来るかい?」






想像なんて、出来るわけがない。
私の中に残っているのは、恨みから湧き出る怒りだけ。(たった、一つ、)




そうだ、雲雀恭弥は、ボンゴレ幹部の中でも浮いた存在だった。




変わり者が多いと噂される幹部の中でも、彼だけは違った。
誰もが、私をガラス玉のように扱っていても、彼だけは。




それでも、殺意や恨みを私に向けたことなんて、なかった。(それなら、どうして?)




「簡単なことさ。ボンゴレ幹部は、君を騙しているんだよ」
「ヒバリさん……、反逆と見なしますよ……、」




「よく思い出してごらん。君はここ数日の間、断片的ではあるが何かを見たはずだ」




「お前は―――――――――の所有物なんだよ」
「さぁ、こっちへおいで?可愛いガット」





男の、声。




「いや……、いやよ、やめて、」
「触らないで!やだっ、誰か!誰か……!」





私の、叫び。




「名乗れるような名前はないよ。……でも、忘れないで欲しい。―――――――――から」
、か。……うん、綺麗な名前だ。君にぴったりだよ」





優しい、誰か。




「っ、どうしてこんなことに……、―――――――――だけは、絶対に許さない、」
「もう他に方法はない」
「それしか方法がないとしても、それにだって対価は必要なはずだ」




対価は、彼女の―――――、です。





男の声も、優しい誰かも、知っている。(そんなはず、)
私の叫びも、身体が、記憶している。(ちがう、こんなの、)





















































あれは、私の、過去の記憶―――――――――――?


















































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