「っ、あ、」
激しい頭痛。(また、この痛み、)
血管が脈打っているのが分かる。(、気持ち、悪い、)
「い、や、っ、あ、あ、」
「お前は―――――――――の所有物なんだよ」
「さぁ、こっちへおいで?可愛いガット」
誰?
「可愛い可愛いガット、私だよ」
「ガット、ガット、ガッと、がット、がっと、」
誰?
「お前は―――――――――の所有物なんだよ」
「さぁ、こっちへおいで?可愛いガット」
だ れ
「いや、やめて、」
「誰なの、もうやめて、くるしい、」
「いやぁあああああぁぁぁああああっ!!」
純粋な黒
目を開けると、頭の奥が痛んだ。(ここ、は、)
「っ、、気分はどうだ?」
「……やまもと、たけ、し?」
「あぁ、お前部屋でぶっ倒れたんだけど、覚えてるか?」
た お れ た ?
ゆっくり、その言葉の意味を理解していく。
まだ、頭が痛い。
「………、私……、っ、」
「?」
「お前は―――――――――の所有物なんだよ」
「さぁ、こっちへおいで?可愛いガット」
誰?
「可愛い可愛いガット、私だよ」
「ガット、ガット、ガッと、がット、がっと、」
誰?
「お前は―――――――――の所有物なんだよ」
「さぁ、こっちへおいで?可愛いガット」
また、この声!
「っあ、あ、あ、ああ、あ、」
「?おい、しっかりしろ!!」(「お前は―――――――――の所有物なんだよ」)
誰なの、
「っ、だれ、なのよ、」
「!しっかりしろ俺だ!こっちちゃんと見ろ!!」(「可愛いガット、私だよ」)
誰、
「誰なのよいい加減にしてよ!触らないで、いや、いやぁっ!!」
「!っ、ちくしょ、しっかりしろっ!」「可愛い、ガット」
この、男!(山本武じゃ、ない……!)
「いやぁああああっ誰かっ、いやぁっ、助け、あああ、ああああああ、っあああ!!」
「!オレを見ろ!っ、しっかりっ、……っくそ、誰か!頼む……っ、来い!!」
痛い痛い痛い痛い痛い!
誰なの、何なの、分からない!
ここは?この男は?何?
わタしは、 な ニ?
***
「……山本、」
「いや、大丈夫だ。気にすんな」
大丈夫なはずがない。(顔が、真っ青だ)
それぞれが、何か考えている。
それは分かるけど、どれも聞きたくない。
「……おい。ヒバリが戻った日、ちゃんと術かけたのか?」
獄寺君の言葉に、骸が眉根を寄せた。
瞬間、室内の空気が張り詰めたのが分かった。(嫌という程に)
「僕がかけなかったと言いたいんですか?獄寺隼人」
「さんのあの様子は記憶が戻り始めてる証拠だろうが!!」
獄寺君の言うことは、もっともだ。
骸がきちんと術をかけ直していれば、の記憶がこのタイミングで戻り始めるわけがない。
まだ、1週間も経たないのに。(不審な点が多すぎる)
可笑しそうに、くすりと笑みを一つ。
骸はゆっくりと口を開いて、言った。
「どうしてもそうだと思うのなら、どうぞご自由に。馬鹿の相手は疲れるので、僕は何も言いません」
「んだと!?テメェ表出ろ!」
「やめろ!今はが最優先だろう!」
了平さんの怒声に、ヒバリさんが溜息を吐いた。
また、緊張が張り詰める。
「もう隠すことが出来ないのは明らかだろ。このまま思い出させればいい」
「っヒバリ!!テメェがどういうつもりか知らねぇが、いい加減にしろ……!」
「もういいだろ」
静かな、声だった。
ただ、その中には鋭い怒気が含まれているのを、誰もが感じた。
「……一番辛いのはアイツなんだ。それを、オレらがここでああだこうだ言ってもしょうがねーよ」
眉間に深い皺(しわ)を刻んで、山本は言った。
そっと目を伏せてみると、あの夜のことが思い出される。(あの、恐ろしい、夜)
「やっと、やっと出逢えた」
そう、やっと、やっと出逢えたはずだった。
思ったよりも長くかかってしまったけど、約束通り、君を、助けだせると思った。
「君をこうして、この腕に抱きたかった」
嬉しくて、幸せで、満たされた気分だった。
実際に、あの瞬間はとても、満たされていた。
「………、可愛い、猫、従うだけの、かわいい、ガット、」
「っ、……?」
「ガット、ガット、」
「……どういう、こと、だ……っ、」
誰よりも悲しくて、苦しくて、世界一愛しい人。
どれだけ多くのものを犠牲にしても、絶対に救うと誓った人。
「……君、名前は?」
「……………、、」
「、か。……うん、綺麗な名前だ。君にぴったりだよ」
柔らかい光を放つ、美しい人。(美しかった、ひと、)
「……あなた、だれ?」
「名乗れるような名前はないよ。……でも、忘れないで欲しい。俺が必ず、君を救うから」
「あの時の言葉は、嘘じゃなかったんだ」
ばらばらに、部屋を出て行った。
一人残されて、思う。(想う、)
「何が、君にとっての最善なんだ……、」
***
ヒロインの過去と、ボンゴレとの間の確執の謎。
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