恋を知れば


龍神の神子春日望美と彼女を守る八葉達は、源平の和議をなした後、邪神 荼吉尼天を追って遥かなる時空を超え、現代へとやってきた。
本当の平和を手にするため、ここに最後の戦いが始まる。


はずが、


「はい、有川です」

【あ、ゆず?あたし、だけど、】

「ね、姉さん?めずらしいな、滅多に電話なんてしてこないのに……どうしたんだよ?」

【今父さんも母さんも留守でしょ。それで母さんにアンタらの世話頼まれたから、しばらくそっち行く】

「……はぁッ?!」


思わぬ人物の登場に、事態は急変。


「まずい、まずいぞ兄さん、この状況どう姉さんに説明する?」

「まぁどうにかなるだろ。っつーかいつ来るって?姉貴戻ってくると必ず俺の部屋チェックすっから、片付けとかねぇと」

「明日ッ!だから早くこの状況どうにかしなくちゃならないだろ!大体兄さんは普段から片付けておかないからそう「ねえねえッさんが帰ってくるってホント?!譲くん!」

「ッか、春日先輩!あ、相変わらず姉さんのことに関しては耳が早いですね……。そうなんです、でもこの状きょ「やったー!さんにお買い物付き合ってもらおー!」

「あ゛ぁ?ふざけんなよ、お前姉貴連れ出すと一日放さねぇだろ。だめ、却下」

「はぁッ!?そんなの将臣くんが決めることじゃないでしょ!!」

「ちょ、二人とも!今はケンカなんてしてる場合じゃないでしょう!」

「ねぇ譲、私お腹がすいた。おむらいすが食べたい」
「譲くん譲くんっセンタクキから水が溢れちゃったんだけどっ!」
「譲ッ、お前に姉君がいたとは!何故黙っていた?!」

「……九郎、落ち着きなさい」

「リズ先生のおっしゃる通りですよ、九郎。それに、姉君がいたからといって、別に君に話さなければならないということはないでしょう」

「神子姫様お気に入りってことは、相当な美姫なんだろうね。譲、どうなんだい?」

「……ヒノエ、そのような物言いは失礼ではないか?」

「譲くんっさんは将臣くんより私の方が好きに決まってるよね?!」
「ざっけんなお前みたいなキャンキャンうるさいヤツうざいとしか思ってねぇよ!なぁ譲ッ?!」




とりあえず荼吉尼天の前に、こっちをどうにかしなければいけない。




こんな調子で、果たして荼吉尼天を倒せるのだろうか。
その前に、戦いに持ち込むことが出来るのだろうか。

そんな感じの、世界の平和の前に譲の胃の具合が最優先っぽい、色々問題ありなおはなし。


#始まりのあとの序章