「違う!Youときたらareでしょーが!何よisって!」


教科書を片手に、佐助せんぱいが怒鳴った。真田くんがびくっと肩を揺らして、助けを求めるような顔でわたしを見つめてくる。……いや、そんな子犬みたいな、かわいい顔したってね、だめよ、だって、真田くんのためにならないもの、ね。……そ、そうですよね佐助せんぱ……、いや、でも、ちょっとスパルタすぎじゃないかなー、なんて「甘いよちゃん。これくらい厳しく教えないと旦那はいつまで経ってもダメだから」………で、ですよねー……?



「オレもサスケせんぱいと同意見っスねー。てかお前それでよくウチ受かったな」
「運よく剣道があったからね。勉強は最低レベルでも大丈夫だったわけ。それでもギリギリだったけど」
「あぁ、ウチってそういうガッコーですもんね」
「そうそう。って手ぇ休めない!旦那、Iってきたらam!昨日もやったでしょ!!」



お、鬼だ……!さすけせんぱいのうしろに、鬼が見える……!(気がする……!)真田くんと目が合わないように、さささっとけーじの背中に逃げると、あぁっ!と真田くんが情けない声をあげた。ごめんね、助けてあげたいんだけどね、むり!せめて君の雄姿くらい見ていてあげたいけれど、その子犬みたいなかわいい目でうるうる見つめられたらなんかかばっちゃいそうなのだ。かんべんしておくれ、さなだくん。いくらなんでも佐助せんぱいに無意味にしごかれたら、ふああ、むり、ごめんほんとむり!心の中で謝りまくっていると、けーじがもぐもぐさせてた口で、てゆーかさぁ、とかったるそーにゆった。ちょ、口にもの入れたままでしゃべんないでよ汚いなっ!!わたしと同じことを思ったようで、なりくんが不機嫌そうな顔をした。眉間にしわが深く刻まれている。……けーじ気づいてなりくん怒ってる!



「いくら中間2週間前つったってさ、なにもメシ時にまでべんきょーしなくったっていーだろ?」
「そっ、そうでござる!佐助!飯くらい落ち着いて食わせてくr」
「だ・め。You is I areなんてやってるうちはダメです。前田の風来坊も余計なこと言わない!」
「うっ、さ、さすけぇええ!!」
「大将からも頼まれてるんでね。文句言えるならいいですよ」
「………おっ、おやかたさばぁあああああっ!!」
「うるさい。昼食時くらい静かにできぬのか、愚か者めが」
「Ha!ったく、いちいち暑苦しいヤツだぜ」



すっかりシュンとしてしまった真田くんは、大人しく問題集とにらめっこ。左手に焼きそばパンを持って、うんうんうなっては佐助せんぱいに助けを求め、時にため息をつかれ、時に怒鳴られ、そしてちらちらとわたしに視線を送ってくる。……左手ががしがしと柔らかそうな髪をかきまぜる度に、あああ、真田くん髪いたんじゃうよあああ!とはらはらしてしまって、なんだかわたしもうんうんうなりたくなってきた。や、やっぱり助けてあげたほうがいいのかな、っていうか人が悩んでる時に腰に手を回さないでくださいよ政宗せんぱい!ばか!なりくんがいち早く政宗せんぱいのセクハラに気づいてくれて、首にチョップを入れた直後、なるみくんも政宗せんぱいの頭をはたいてくれた。けーじが政宗のけだもの!とからかうように言うと、政宗せんぱいがけーじ……と、なるみくんを思いっきり殴った。うあ、痛そう……!なるみくんがなんでオレと慶次だけ?!と涙目で怒鳴ると、政宗せんぱいはうるせえ、と呟いてふてくされてしまった。


「……さなだくんっ、あの、わたしがおしえようk」
ちゃん、甘やかさなくていいからね」
「………………え、えと、」
「っ、さ、さすけぇえ、」
「はいはい文句言う前に問題解きましょうね〜」
「……っぬっああぁあああぁぁぁああぁっ!!!!」


◎ヤバイ!そのに・中間テスト
(だ、だいじょうぶかな、さなだくん/あは、燃えつきそうだよねぇ/あっはっは!だねぇ!)