ファミリー全員分の食事は、さすがに一人じゃ作れないけど。(作りたくても、ね)




「あなた、もう朝食の時間ですよ」
「んー、」




まだ眠たそう、というかまだ寝てるディーノの額に、キスをしてみる。(……気づかない、よ、ね?)
いつも、ちょっとやそっとじゃ起きないし。




メイドさんが来てもずっと熟睡。




何しても起きないっていうから、結局こうしてあたしが来るのよ?
分かってるのかしらね、この人。(……笑ってたわよ、みーんな)




「!ちょ、っ、」




強く手を引かれて、ディーノの上にダイブ。
もちろん、部屋にはあたしとディーノだけだから、こんなことするのは一人。




「おはよ、
「あ、あなたっ、起きてたの!?」




にっこり笑ってあたしにキスをする、ディーノしかいない。




Love Sick!Medicine?:お食事はいかが?




「いい加減にして下さいね?あたしだって忙しいんですから、仕事を増やさないで下さい」




不機嫌だ。
さっきの寝たフリ、っていうかキス、まだ怒ってるのか?(たぶん、怒ってるんだよ、なぁ……)




「分かってるけど、の声じゃないと起きれねーんだ」
「……知りません、そんなの」




スピードを速めたに、小さく笑う。(かわいい、よなぁ)
その声に気づいたのか、勢いよく振り返ると、さっさとして下さい、と怒られてしまった。









「ボス!」









の背中を追いかけようとしたオレを呼ぶ、小さな女の声。(この声は、)
また妙なことを考えてやがるな、と思いつつ立ち止まる。




「なんだよ、
「ま、そんな他人行儀な呼び方やめて下さいよ!」
「……お前他人だろ」


































「そんなこと言うと、奥様に離婚をオススメしちゃ「ちょっと待てなんでそーなんだ!」





















は、ウチの屋敷で一番若いメイドだ。
が気に入っていて、よく二人で出かけることもあるようだ。(その辺が気に入らねー)
まぁ、同じ日本人(男だったら完全アウトだけど)だし、話が合うんだ、別に構わねーけど!(けどなぁ、)




「ふふん、奥様はボスよりあたしの方を好いて下さってますから!口の利き方には気をつけて下さい?」




それから、こういうところが気に入らねー!(ボスよりあたしの方を好いて下さってますから、だって?)
でもまぁ、なんだ、はコイツのこと気に入ってるし、な。(クビなんかにしたら嫌われちまうっつの!)




「(しかもそれを分かってっから、こう、性質が悪いんだよな)……で?なんだよ」
「うふふーvねぇボス!奥様の手料理、食べたくないですか?」
「手料理!?……ま、まぁ、食いたくないことはねーけど、」
「なんですかその言い方!だから奥様に離婚話出されるんですよ!!」
「なっ、お前に関係ねーだろーが!」









コイツが何かオレに持ちかけてくる時は、必ずと言っていい程ロクなことにならねー。



が玄関ホールで待ってるっつーから、急いで行ってみれば、そこでオレはなんでか違う女に抱きつかれ。
そしてそこにが登場。








浮気と勘違いされ、離婚届けを突きつけられた。



からだっつーから、その香水を使ったのに、なぜかに離婚届けを突きつけられた。
香水をビンごとが投げた時は、さすがに焦った。(嫌な思い出だ)




「いつもと匂いが違う!」
「っ、それは、女物の香水の匂いじゃない……!」





などなど、色々言われたし。




でも、が泣きそうで、申し訳なさと同時に、に対する怒りで一色だったな、オレの頭ん中。
オレはなんでも中心でいたいから、こう、自分が許せなくなったりして。




コイツ、すげーイイ笑顔でオレのこと見てたし。




こってり絞ったが、反省の色は見られなかったような気がする。
でもまぁ、を泣かせそうになったのは反省してた。




それだけ反省出来んなら、オレにも謝罪の一つや二つ、と思うくらいに。




とにかく、はオレとを別れさせたいらしい。
まぁ、そう思うだけなら別に構わねーんだが、実際に破局計画を実行されるのは困る。




「奥様みたいな素晴らしい女性を、どうしてボスみたいな人が落とせたのか、ずっと疑問でした、っていうか疑問です。
けど、昨日奥様がお料理をしてらして、その時にボスに食べさせてあげたいって言ってらしたんです。
あたしはぶっちゃけ離婚すればいいのにと思ってますが、奥様のお幸せを第一に考えてるんで、奥様がお望みならば、
ボスに奥様の絶品ビーフシチューを食べさせてあげないこともないんですけども!」




にこにこと笑顔だ。(怪しい)
ここで信じていいのか?(いや、よく考えろ)




「お優しい奥様のことですから、ロマーリオさん達にもお出しになってるでしょうねー」
「う、」
「ってことはー、早くしないとですよ?ボス」
「わ、分かってるっつの!」


















「もしかしたら、もう残ってな「っ食いたいよ!のビーフシチュー!食いたくて悪いかっつーの!!」




















半分ヤケになって叫ぶと、は笑った。
ヤベ、なんか嫌な予感すんですけど!













「ぜーんぜん構いませんよ?ねー、奥様!」













オレの右後ろのドアが、すっと開いた。
そこから、そっとこっちを見つめてるのは。(あぁ、もう!)




!お前、食事に行ったんじゃ、っていうかいつからそこに、」
「ご、ごめんなさい!あ、あの、聞くつもりじゃなかったの、っていうか、その、」




顔を赤くしてるに、小さく笑う。
そんなオレを見て、が言った。




「ふふ、ですから言ったじゃないですか!ボスは奥様のお料理を食べたがってますよって」
「ちょっとさん!余計なこと言わないでちょうだいっ!」




うわ、こんな顔真っ赤なの、初めて見たかもしんねー。(かわいい、)




「……は、オレに手料理食って欲しかったのか?」
「なっ、そ、そんなこと言ってないでしょ!」
「(わ、また赤くなった)ホントか?正直に言えよ」
「、それは、」







































「はいはい!ラブラブはいいですから、さっさと朝食を取って下さーい」












































「……、っ、っ!て、テメー!」
「きゃー!奥様奥様!ボスが女性相手にぼーりょくを!」
「ちょ、ディーノ!」
「(ガーン)………なんだよ、お前はコイツを庇うのか?」




















「もう、ほら、機嫌直して?あたしのビーフシチュー、食べてくれるんでしょ?」

























ちゅっと、音を立てて。
オレとの唇が、重なった。




「、、」
「……行きますよ」









































のビーフシチューはホントにホントに、おいしかった。


































お食事はいかが?


















































***


愛の病初の番外編ですが、いかがでしょう?

二人のいちゃつきっぷりからして、これはトラダート事件後ですね。
ちなみに、ヒロインを部屋に入れたのはメイドです笑。

ディーノさんに手料理を食べさせてあげたいけど、なかなかそういうチャンスがないし、食べてくれないんじゃ?
というヒロインの為に、奥様大好きメイドが一肌脱いじゃいました!笑
同じ日本人同士ってこともあって、二人はホントに仲良しです。
本編でも出てくるかもしれませんね。

感想等、いただけますと嬉しいです!
今後とも、愛の病をよろしくお願いいたします!




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