おまえはかわいい、おれの姫君!
歳の随分離れた妹のは、いつも俺の後ろをちょこちょことついてくる。
あれだ、ちょうど親鳥のあとにつづいて歩く、雛鳥みたく。
その様子のかわいいったらありゃしなくて、俺はもうめろめろだ。
骨抜きにされてしまって、全然使いものにならない。
「まったくだ。よく分かってるじゃねェか、ダメツナ。分かってんならさっさと宿題片付けろ」
そうだ、よーく分かっているのだ、俺は。
けど、分かっているだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
だってリボーン見てくれ、さっきから俺の行くとこどこへでも後を追ってきて、かわいいだろう!
これが俺の妹なんだよ、リボーン、俺の、お姫様なんだよ。
知るかそんなこと、と冷たく吐き捨てるリボーンだって、本当はかわいくって仕方ないのだ。
この、小さくってかわいくってどうしょもない、俺だけの!俺の!妹が!
赤ん坊のくせに、コイツは無理矢理にだって俺に宿題をさせられるのに、それをしない、出来ないのだ。
かわいいかわいいが、俺にひっついて離れないから、そんな乱暴はとてもじゃないが。
けれど、俺に宿題をしろと言い続けるのは、(一応)家庭教師だから、というわけでは全くない。
ただ単に、俺のかわいいはリボーンになんか興味なく、俺に甘えてばかりなのが気に入らないだけだ。
「つなにーにっ、だっこ!」
「うん、うん、もちろんいいよ、おいで、」
「にーに、だいすき!」
「俺もだいすきだよ、俺だけのかわいい!」
目の中へ入れたとしたって痛くないくらい、ちいさくってかわいくって、特別な子。
俺には分かる、この神憑り的にかわいい子は、愛されるべくして生まれてきた子なんだって!
現に見てみろよ、めろめろで骨抜きだろう、情けないくらいに締まりのない顔をしているだろう、俺は。
でもリボーン、今にお前だって同じ顔をしているに決まってるんだ。
だって見てみろよ、めろめろに骨抜きにされたっていいくらい、かわいいだろう!
「リボーン、俺は思うよ。きっといくつになっても、この子だけは俺の傍に置いておくだろうってね」
「……どうだかな。はそれを望まないかもしれないぞ」
「そうだなぁ、が泣いてしまったら仕方ないから許す、かもしれない」
「そうか。……まっ、案外早くに泣いてお前に頼んでくるかもしれないな。好きな男と一緒になりたいと」
相手がお前みたいな浮気症の男だったら、即刻葬ってやるけどね!