理不尽だし、屁理屈だし、大体わたしの方が年上だし、つまり彼はわたしより年下だし。どう考えたっておかしい。おかしいどころか!まちがってる!でも、彼はわたしの話なんか全く聞いちゃいないし、いや、それは違うか。聞いていないんじゃなく、聞こえていないのだ。そうだ、大体それもおかしい!おかしいどころか、まちがってる!あいしてるあいしてると散々かわいがってるかわいい彼女の話が、どうして聞こえていないのだ!聞け!もう一度だけ言ってあげるから、耳の穴かっぽじって耳引っ張って穴広げて聞きやがりなさい!




「だからわたし子供じゃないんだからさっ!」




言ってることは理不尽だし、しかも屁理屈だし、大体さんは俺より年上だ。俺は彼女のことを想って言ってるつもりだけど、でも彼女にしてみたらそれはきっと、こどものわがままみたいに聞こえていて。たぶん、俺はおかしくて、間違ってる。臆病なはずの俺は、さんのこととなるとすぐ後先考えず突っ走ってしまう。彼女は、「わたし子供じゃないから」と言う。もちろん分かっているけど、でも聞こえない振りをしてしまうのは、やっぱりさんのことがいとしくていとしくて、かわいくて仕方ないからなんだ。だから、そう怒らないで、俺にあなたを存分にかわいがらせてください。




「で、でもほらっ、途中変質者とかに襲われでもしたら大変でしょう?だから俺も一緒に行きます!」




この真昼間にそう変質者も出ないと思うよわたし。しかも歩いて5分のコンビニだし、めちゃくちゃ大通り。何をそこまで心配する必要があるというのだろう。幼稚園児の初めてのおつかいじゃあるまいし。けど、今の彼にそうやさしーく説(と)いてやっても、全く聞こえないでしょうから面倒なので黙っておく。あーあ、あつくるしい!肉まん食べたいと思ってたんだけど、アイス食べたくなってきちゃった。ああ、でも寒い日にあったかい部屋で食べるアイスっていうのも、うん、なかなか贅沢なんじゃなかろうか。ちらり、と彼に視線を流す。ばちっと勢いよくかち合うと、はっとしたような顔になって眉間にしわを寄せた。……しょうがないなぁ、この過保護な年下彼氏をお供に連れてってやるか。




「……早く行こう。アイス、食べたい」
「うっ、うん、行こう、一緒に行こう!……って、さん今なんて言った……?」
「なにって、だから早く行こうよ、あたしアイス食べたいんだって」
「だだだだめだよ!!アイス?!この寒いのに!?だめっ、お腹壊したりしたらどうするの?!」
「はぁ?だいじょーぶだよ、ねぇ、はやくアイス食べたいんだってば」
「だっ、だめ!アイス買いに行くならついていってあげません!」
「……別にいいけど。はじめから1人で行くつもりだったし」
「〜っ、だ、だめだ!……っもう、ずるい人だなぁっ、」
「はぁ?もー、意味分かんない!とりあえず綱吉は行くの行かないの?どっち!」
「い、行きます!あ、アイス食べたいんでしょ?もうっ!」



溺愛彼女×過保護彼氏